平泳ぎの股関節の内側の痛みの原因と解決するための「筋膜調整」とは?
目次
平泳ぎでの股関節の内側の痛みの原因と解決するための「筋膜調整」とは?
平泳ぎをすると股関節の内側が痛い
泳ぐ前のストレッチで開脚すると股関節の内側が痛い
平泳ぎのキックの時に股関節が痛い
など
平泳ぎで股関節の内側が痛くなることは珍しくはありません。
平泳ぎのキック動作で股関節が痛くなると、水を強く蹴ることができなくなり、スピードも落ちてしまいます。
また股関節の痛みをかばって無理やり蹴っていると、次第に膝や腰にも負担がいく可能性もあります。
今回は平泳ぎで股関節の内側の痛みの原因と対処方法について解説していきたいと思います。
平泳ぎで股関節の内転筋が痛くなる原因
平泳ぎに多い障害部位とは?
水泳は腕や脚など全身を使う運動であり、また呼吸機能も高められることから老若男女問わず親しまれているスポーツの一つです。
特に中高齢者にとっては浮力を利用する水泳は下半身の関節に負担が少ない分、健康増進として取り組まれている方も多いようです。
一方で、順位を競う競泳となると体にかかる負担も変わってきます。
そのため、競泳は肩や腰の障害が多いスポーツ競技としても知られています。
トップスイマーの障害発生部位を種目別に比較した調査では、
競泳では腰、肩、膝の順で発生数が多かったとの報告されています。
また、泳法によって前へ進むためのメカニズムが違うため、負担のかかる部位も若干変わってくるとされています。
中でも平泳ぎでは前方に進む力の発揮は約70%が脚のキック動作に依存していると考えられ、
平泳ぎ選手は他の泳法に比べて股関節や膝など脚に痛みを抱える選手が多いとの報告もあります。
平泳ぎのキックの違いによる影響とは?
平泳ぎのキック動作は2種類あります。
一つはウェッジキック、もう一つはウィップキックになります。
ウェッジキックは、脚を引きつける時に股を外側に開きながらつま先も外に向けるいわゆるガニ股にした状態から、
股関節と膝の伸びを使って水を蹴って前に進みます。
ウェッジキックは外股を多用するため、臀部の筋肉をよく使うことになります。
また、キック動作の時には内股の方向に閉じつつ、股関節と膝を力強く伸ばすため、
・股関節の内側になる内転筋
・股関節を伸ばす殿筋群
・膝を伸ばす太もも前の大腿四頭筋
を良く使っています。
ウィップキックでは、脚を引きつけた時に両膝の間をこぶし1〜3個分程度に保ち、つま先を外側に向けや状態から脚を蹴り出します。
ウィップキックは股関節を外に開きすぎないように内股ぎみに保持するため、股関節の内転筋を使います。
また、つま先を外側に向ける時にモモ裏にある外側のハムストリングスを多用することになります。
キック動作のときは股関節と膝を伸ばすため臀部の筋肉と太もも前の大腿四頭筋を使うことになります。
どちらのキックに共通するのがキックの際に
股関節を内側に閉じるための内転筋
股関節を伸ばす時の臀筋
膝を伸ばす時の大腿四頭筋
を必ず使うところです。
練習量が多くなると、この筋肉を使い過ぎてしまう可能性は高くなります。
平泳ぎで股関節の内側が痛くなるのは筋膜が原因!
平泳ぎの時に股関節の内側が痛くなるのは筋膜が原因になっていると考えています。
その理由は2つあります。
1つは、筋肉に比べて筋膜には痛みを感じるセンサーが10倍も多く存在している点です。
筋肉の痛みだと思っていた痛みは筋膜の痛み、いわゆる筋膜痛であることが多いと言われています。
もう1つは、筋膜は筋肉の腱を通して関節を包む関節包という袋にもつながっているため、
股関節の痛みのように感じていても、その原因は筋膜である可能性があるのです。
この2つの理由から平泳ぎのときの股関節の痛みは筋膜が原因となっていると考えています。
筋膜の状態が良い時は痛みは発生せず、筋膜の状態が悪い時は痛みにつながります。
では、良い筋膜の状態と悪い状態とは一体どのようなことなのでしょうか?
筋膜の状態は滑りの良し悪しで決まる
筋膜の状態を左右する潤滑油の存在
筋膜は2〜3層の層構造になっていることがわかっています。
そして、この層の間には潤滑油でおなじみの「ヒアルロン酸」があります。
ヒアルロン酸の性質がサラサラ・スベスベの状態であれば、筋膜の層はお互いに引っかかることなくスムーズに滑ります。
これが良い筋膜の状態です。
逆にヒアルロン酸がベトベトの水のりのような性質になったらどうですか?
おそらく筋膜の層は滑り合うことができなくなります。
これが悪い筋膜の状態です。
筋膜の滑りがよければ,痛みを感じ取るセンサーは反応しないので,痛みはでません。
一方で,筋膜が滑らなくなると,摩擦でセンサーが反応してしまい,痛みがでます。
ヒアルロン酸の性質が変化することで筋膜の滑りが影響を受けてしまうのです。
ではヒアルロン酸がベトベトになり筋膜の滑りが悪くなるのはどんな時なのでしょうか?
筋膜の滑りが悪くなる3つの原因
ヒアルロン酸がベトベトの性質に変化する原因は大きく3つあります。
①手術や外傷
1つ目は手術や外傷です。
手術や外傷によって筋膜に直接ダメージが加わり炎症が起きるとヒアルロン酸の分泌も増えてしまいます。
量が増えると粘りも強くなるため、筋膜の滑りはわるくなってしまうのです。
②固定や不動
手術や外傷のあとに患部を固定することがありますが、この固定によってもヒアルロン酸の性質は変わってしまいます。
固定によって動かせない(不動)ことによって組織が脱水を起こすため、ヒアルロン酸がベトベトになるのです。
③使いすぎ
筋肉を使いすぎると乳酸が出ます。
実はヒアルロン酸を含む基質とよばれる水分は酸性に傾くとベトベトになる性質があります。
そのため、一部の筋肉を使いすぎて乳酸がたくさん出ると、結果的にヒアルロン酸がベトベトになってしまうのです。
①〜③が混ざっている場合もありますが、過去に怪我の経験がなく、知らないうちに平泳ぎで股関節が痛くなっていたとしたら、③番の使いすぎによる影響が大きいことが考えられます。
では滑りが悪くなった筋膜を良い状態に戻すにはどうしたら良いのでしょうか?
筋膜の滑りを取り戻す方法とは?
筋膜の滑りを取り戻すにはヒアルロン酸をベトベトの水のり状態からサラサラの状態に戻す必要があります。
そのために必要なことは2つ。
1つは熱を加えること。
ヒアルロン酸には温めるとサラサラになるという熱依存性の性質があります。
そのため、動きの悪くなっている部分に熱を加える施術を行っていきます。
もう1つは刺激を加えること。
ヒアルロン酸がベトベトの水のり状態になっている部分はヒアルロン酸の分子結合も強くなっていて、
一つ一つの分子も大きくなっています。
ヒアルロン酸をサラサラに戻すには大きくなった分子を小さな分子に戻す必要があるため、
肘や指で直接刺激を加えていくことで分子結合を断ち切っていくのです。
筋膜調整は筋膜の滑りの悪いところを探し出し、肘や指を使って「摩擦熱」と「刺激」を加えていくことで、
ヒアルロン酸の性質を変化させ筋膜の滑りを取り戻す施術なのです。
平泳ぎでの股関節の内側に痛みが筋膜調整で改善した症例紹介
Aさん(中学生)、平泳ぎをメインに競泳をやっています。
はじめに痛くなったのは右側で、今は4週間前から左股関節がひどく痛むようになったとのことでした。
筋膜の滑りの悪さチェックの結果
左右の臀部と左側の太ももに滑りの悪い場所がありました。
筋膜調整の結果
施術前後の動画です。
股関節を広げたまま立って、腰を前に突き出す動作で10段階で7くらいの痛みが股関節の内側に出ていましたが、
筋膜調整後はほとんど痛みは無くなりました。
施術のあと、Aさんには普段からできるセルフケアの方法もお伝えしました。
セルフケアは、施術で効果的だったポイントをご自身でほぐしたりストレッチをしてもらっています。
平泳ぎの場合、臀部・もも裏・もも前がポイントだと考えています。
平泳ぎでよく使う場所、筋膜の固くなりやすい場所がわかれば、自宅でもしっかりとケアができるようになりますね。
そして後日、Aさんのお母様よりメールが届きました。
〇〇の母です
先日はお忙しい中、施術ありがとうございました。
丁寧な対応、そしてじっくりと娘の身体と向き合って頂きとても嬉しかったです。
あの時間で娘の身体は、劇的な変化をしておりました!
本人も痛さがどこへいったのかよくわからないくらいびっくりしていました。
次の日の練習は、久々に痛さがなく進む感覚を味わえたようです。教えて頂いたストレッチもわかりやすくとても効いているようです。
施術後の炎症はおもいほか痛いようですが…笑笑年明けに合宿がありもしかしたらそこで痛みが出るかもしれません。その時は、ご連絡させて頂きたいと思いますのでよろしくお願いします。
まずはお礼まで。
それでは、良いお年をお迎え下さい。
ありがとうございました。〇〇
一度の施術でしたが次の日から平泳ぎのときに股関節の痛みもほとんどなく、しかも前に進む感覚が得られたことはとても嬉しいですね。
また、ご家族の方も安心されたご様子で、良かったです。
まとめ
平泳ぎをすると股関節の内側や内転筋が痛くなる方へ。
ストレッチや体幹トレーニングをしていても痛みが無くならない。その原因は、筋肉痛でも、関節痛でもなく「筋膜」かもしれません。
筋膜が痛みの原因である場合、筋膜調整は非常に有効な施術です。
✓平泳ぎをすると股関節の内側が痛くて思いっきりキックができない
✓股関節の痛みのせいでタイムが伸びない
✓股関節をかばっていたら膝の内側が痛くなったり、膝が抜けそうになってきた
このような症状でお困りの方はぜひ一度ご相談ください。
お役に立てるかもしれません!